A HARD DAY'S NIGHT

A HARD DAY’S NIGHT

TOCP-51113
1964年7月10日発売(英)

●A面は映画「ビートルズがやってくるヤァヤァヤァ」のサントラ+Can’t buy me love、B面はその他新曲
●全曲レノン=マッカートニーオリジナルだが、ジョン主導の曲が11曲、ポールの曲が3曲。ジョンのソロアルバムの印象が強い。
●全英、全米ともにナンバー1を獲得。

全世界をビートルズ旋風が吹き荒れる中で発売された本作品。

この作品をジョンの音楽的ピークと捉える評論家も多い。よくみるとそんなジョンの作品も2つの系統にわけることが出来る。A Hard Day’s Night恋する二人家に帰れば等、仕事で疲れたけど、家に帰って安らごうという“幸せの恋“を歌った曲。

そしてもう一つは、If I fellTell me why僕が泣くYou can’t do thatの流れ。情けなくときに暴力的なジョンのもう一つの面を示す曲だ。
ジョンの中で何かが変わってきた。欲しいものを手に入れたけど、満たされない自分、その心の叫びがこのアルバムで聞くことが出来る。

また、ジョンから周回遅れのポールの音楽的成長がAnd I love her今日の誓いなどで見られる。

しかし、一つ聴き所は何かといわれれば、ジョンの音楽的絶頂と内面の確執、この微妙なズレだと思われる。

A Hard Day’s Night
★★★★★


◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1964/4/16
●邦題「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ」の名付親は当時ユナイト映画宣伝部水野晴男氏というのが定説。
●タイトルはリンゴが文法を間違えてつぶやいた一言(いわゆるリンゴ語)から。
●トヨタ・ラクティスのCMにカヴァーバージョンが使用される。


ビートルズが一番ノッていた時代の代表曲。オープニングのジャ~ン♪が特に有名だが、どのように弾いているのかはいまだ定説がない。
少年時代にこのコードを一生懸命練習したゲイリー・ムーアがのちにジョージに会ったとき、ジョージが弾いて見せたコードに対して「それは違う」と指摘したという話もある(「愛の事典」より

家に帰ったら君が待ってるパターンは、この曲の他、When I get homeWaitラバーソウル収録と続く。人呼んで「帰宅三部作」だ。ただ、この三曲、微妙に進化が見られるところが面白い。

When I’m home feeling you holding me tightA Hard Day’s Night
家に帰ったら、いつでも君が抱きしめてくれる
I got a whole lot of things to tell her, When I get homeWhen I get home
家に帰ったら、彼女に話すことが山ほどある
Wait till I come back to your side We’ll forget the tears we’ve criedWait
もうすぐ帰るから待っててくれ 涙を流したことは忘れてしまおう

時間がたつと男と女の関係も成熟してくるということか。それにしてもA Hard Day’s Nightの時代がいいよな。
楽曲的には、この曲の疾走感がたまらない。ジョンとポールのボーカルが入れ替わるところなんか最高。

ジョージがこのスピードじゃあリードギターを弾けないってんで、もっと遅い速さで録音して回転数をあげて再生した、なんていう微妙に情けない話も伝わっている。 でもシェアスタジアムでのコンサートでは弾けてたね、ジョージ。

オープニングのジャーンからエンディングのフェードアウトまで、全て完璧。

I Should Have Known Better
★★★☆☆


◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1964/2/26
●邦題は「恋する二人」 。


Should have + 過去完了形 ってやったな「~すべきだったけど、しなくて残念!」ってヤツだよな。 「ドラゴン桜」って漫画でエアロビやらせながらビートルズを暗記させる英語の先生がいたが、この歌なんかいいな。毒が無くて。

間違ってもCome togetherHappiness is a warm gun は勉強にならんからやめとけ。あと、時間の無駄だから、Revolution 9とかFlyingとかもNGね。

ジョンにはめずらしく、屈託の無いラブソング。

If I Fell
★★★★☆


◆(Lennon=Maccartney) V=John,Paul 収録日=1964/2/27

●邦題は「恋に落ちたら」。
●映画では、ジョンがリンゴを励まそうと演奏をはじめる。


この曲におけるジョンとポールのハモリは最高だと思う。感性一発でキメたみたいな感じでどっちが上でどっちが下なのか、あれ、今、上だったジョンが下になったみたいな感じで、素晴らしい。

If I fell in love with you Would you promise to be true
僕が君と恋に落ちたら裏切らないと約束してくれる?

これから女の子と付き合おうかどうかって時に、こういう保険をかけるようなセリフはどうなんだろう。こういのは直接聞くもんじゃないだろう。弱弱しいジョンの人間味溢れる歌詞だな。

ところで、この時期のビートルズの歌詞を見るとそのストレートさがまぶしい。弱弱しいときは徹底的に弱く、強気に出るときは暴力敵にまで強気、好きな相手には屈託の無い愛を、このストレートなエネルギーがビートルズの魅力だったんだろうな。

それにしても「恋に落ちる」って実は瀕死語だよね。

ジョンとポールのハーモニーが素晴らしい名曲。

I’m Happy Just To Dance With You
★★★☆☆


◆(Lennon=Maccartney) V=George 収録日=1964/3/1
●邦題は「すてきなダンス」。


ジョンの曲だが、敢えてジョージに歌わせる。だって歌詞がこんな感じだからね。

I don’t need to hug or hold you tight
キスしたいとも手を握りたいとも思わない

‘cause I’m happy just to dance with you
君と踊っていれば幸せなんだ

「家に帰ったら、いつでも君が抱きしめてくれる」ってA Hard Day’s Nightで歌ってるんだから、ここで今さら、ダンスだけでいいとは、ジョンも歌いにくかったんだろうな。
と同時に、ビートルズの4人に対して、ある程度、キャラをプロデュースしようっていうエプスタインの意図も感じるな。レノン=マッカートニー作でもう1曲ジョージが歌う「Do you want to know a secret」も「僕の秘密知りたい?誰にも言わないって約束する?じゃあそばに来て。実は君が好きなんだ。」とこんな感じ。この「すてきなダンス」と共通しているよね。ジョージは明らかに奥手の坊やってキャラをやらされている。ジョージハリソン=奥手男プロデュース計画の第3弾だ。

ちなみに、ジョンは知的でときにちょいワル。ポールは、かわいくて屈託が無い、そしてリンゴは素朴で明るいって感じかな?もっと検討要かも。

ジョージのボーカリストとしての個性が際立つ初期の名作。

And I Love Her
★★★☆☆


◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1964/2/27
●映画の中ではテレビ中継のリハーサル場面で演奏風景で流される。


初期ビートルズを代表するバラード。高校の時、バンドで演奏したな。僕はドラムやってたんだけど、リムショットってのがちょっと退屈だったな。

この頃では随一。ポールの秀作。

Tell Me Why
★★★★☆


◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1964/2/27
●ジョンが映画用に急遽書いたといわれている。


歌詞的に言えば、なんとなく、If I fellの後日談といった趣き。裏切らないって約束した(約束させられた?)女の子がしでかしたなんらかの裏切りをした。それを攻める男の歌だ。

Tell me why you cried, and why you lied to me
なぜ泣いたのか、なぜ嘘をついたのか 言ってみろよ

If there’s something I have said or done, tell me what and I’ll apologize,
if you don’t really can’t go on, holding back these tears in my eyes

なにか気に障ることがあれば言ってくれればすぐに謝るよ
でないと泣き崩れてしまいそうだ こみあげる涙を必死にこらえる僕

曲の勢いと歌詞の情けなさ、これがこの歌のポイントだ。

Can’t Buy Me Love
★★★★☆


◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1964/1/29,2/25
●サビからはじまるというアイディアはマーチン。さすが辣腕プロデューサ。


ジョンとポールのA面獲得3大名勝負。第1ラウンドが、このCan’t buy me love VS You can’t do thatだ。
愛は金じゃ買えない」と屈託無いポールと、「お前があいつと話してるのを見たらコテンパンにしてやる」と暴力的なジョン。当時のエンドユーザーの嗜好を考えればやっぱりプロデューサならポールを選ぶよな。で大ヒット。

ちなみに、A面獲得3大名勝負。
第2ラウンドはHello Good Bye VS I am the Walrus。この時も超シンプルでポップなポールのHGが難解で超個人的なジョンのWalrusを蹴落としてA面を獲得。大ヒット。そして、 第3ラウンドがHey Jude VS Revolution。優しさに溢れたHey Judeが、「毛沢東の写真を持ち歩いているようじゃ革命なんておぼつかない」と嘯くRevolutionを押しのけてA面を獲得。大大大ヒット。

ただ、時の流れというのは、因果なもので、現代ではそれぞれ、You can’t do thatI am the WalrusRevolutionの方が魅力的に感じる。僕にとってということだけどね。

この曲を歌う時のビートルズのモップ頭振りのかわいさが忘れられない。

Anytime At All
★★★☆☆


◆(Lennon=Maccartney) V=John,Paul 収録日=1964/6/2,3
Anytime At Allのシャウトを3回繰り返すが、2回目はポール。


Any time at all, all you’ve gotta do is call and I’ll be there
いつだってかまわない いつでもいいから、好きなときに電話を送れよ。すぐそっちに行くよ

こういう何気なく作った曲にジョンレノンの真実があらわれるものだ。
3大話風に展開させてみるとIf I fellで「僕が君と恋に落ちたら裏切らないと約束してくれる?」って保険をかけて恋をはじめる。
Tell me why で「なぜ嘘をついたのか 言ってみろよ」と保険もむなしく彼女の行為に傷つく。
そして、Anytime At Allの恋ではより慎重に、電話をしてくれたら(あくまで電話をしてくれたら)そっちへ行くよと、なるべく傷つかないように自分を守ようになる。また保険をかけたのだ。人はこれらのストーリーを保険系と呼ぶ。

ジョンって本当にわかりやすいのね。この正直さこそ、アーティストとして最も大事な資質だと思う。

勢いのある曲です。

I’ll Cry Instead
★★★★☆


◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1964/6/1
●邦題は「僕が泣く」。

●映画の中でも演奏される予定だったが、監督のリチャードレスラーが気に入らず、アルバムのB面に収録される事となる。


しかし、激しい歌詞である。

And when I do you’d better hide all the girls,
‘cause I’m gonna break their hearts all ‘round the world.
Yes, I’m gonna break them in two,

そのときは、女という女を隠しておかないと
世界中の女の心を傷つけてやる
ハートを真っ二つに引き裂いて恋に狂った男のパワーを見せつけてやるんだ。

If I fellTell me whyAny time at allの3大話には、続きがまだあった。

それでもフラれた男の行き着く先がこの、狂乱だ。リチャードレスターが映画に入れたくなかったのはわかるよね。

僕が泣く」って邦題はどうにかならんか。単純に訳しただけじゃん。名曲が泣いているよ。

Things We Said Today
★★★☆☆


◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1964/6/2,3
●邦題は「今日の誓い」。
●1989年、1990年の世界公演旅行でポールが演奏。


ジョンの「傷つきたくないでも恋したい」っていう恋愛感情に対して、あくまでも自身満々で前向きなポール。

Someday when we’re dreaming, Deep in love, not a lot to say.
Then we will remember The things we said today

いつか言葉もいらないくらいほど深い愛し合い
一緒に夢見る日がきたとき 僕らが思い出すのは二人が交わした今日の誓い

ここには、女の子、そして人間への信頼感が確実に存在する。
でも、逆にこの自信満々な態度が後々、ビートルズにヒビを入れることになったのでありました。

後々、ポールのライブでもよく演った曲。ポール好きだったんだろうな。

When I Get Home
★★☆☆☆


◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1964/6/2
●邦題は「家に帰れば」。


ジョンはこの時期、この帰宅系(早く家に帰りたいという心情を歌った系統)の曲と保険系(条件をつけながら、求愛する系統)の2つの系があるが、これは、勿論、帰宅系。「帰宅三部作」の2作目だ。

ただ、スタンスは早く家に帰りたいのに、それを邪魔するヤカラに対する批判に力点が置かれている。素の自分の感情を吐露した歌かも。実際に、エプスタイン、つまんない取材とかアポとか一杯入れたんだろうな。

これもこの頃のジョンの勢いがそのまま出た曲。

You Can’t Do That
★★★★★


◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1964/2/25
●リードギターはジョン。
●シングルA面をCan’t buy me love と争う。 (歌詞が過激すぎたためと言われている)


ジョンの3大ギターソロのうちの1曲。残りはHoney pieGet back。このかき鳴らすようなギターソロは、The Endの名演とも通じる。
中山康樹氏をして「すべて完璧」と評したこの曲。不思議なのはこの曲が孤高だって事。ビートルズナンバーで、音楽的にこの曲の路線で続く曲が俺にはみあたらないのだ。ストーンズなんかの方がこれに近い路線になっていくと思われ。

歌詞的に言えば、しつこいようだが、保険系のIf I fell Tell me why Any time at allI’ll Cry Insteadにまだ続きがあった。男はさらにモンスター化して帰ってきたということか。おそろしいジョン…

I got something to say that might cause you pain,
If I catch you talking to that boy again,
I’m gonna let you down,
And leave you flat, Because I told you before, oh, You can’t do that.

ご機嫌をそこねるかもしれないが 言っときたいことがある
あいつとは二度と口きくんじゃない
今度見つけたらとっちめてやる
コテンパンにしてやるからな
前にもはっきりいったはずだ そんなことするなって

この曲をナンバー1に推す人も多い。通好みの1曲。僕も好き。

I’ll Be Back
★★☆☆☆


◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1964/6/1

●ジョンが父親・フレッドに宛てた歌。


You know if you break my heart I’ll go, But I’ll be back again

僕を悲しませるなら出て行くよ でもまた戻ってきちゃうだろうな

優柔不断なジョン。この優柔不断は、死ぬまで続く。
でもこういうところがジョンの人間味なんだと思う。ジョンのこと好きっていうことは、こういった優柔不断さも含めてすべてを愛するってことだと思うよ。
人は何か行動を起こすとき、逆に別の可能性を捨てる。自分の選択した道を信じて行こうという前向きな姿勢、俺はこれはポールの歌詞に感じる。逆に、捨ててしまった別の可能性に対する愛惜の念を膨らませる。こういう後ろ向きな姿。これはジョンの守備範囲だ。
圧倒的なポールの曲の魅力に打ちのめされながら、ジョンの暗い詞にも後ろ髪惹かれる。それが僕のビートルズを聴くときのスタンスだな。

ちなみに、ジョンの優柔不断はこの後、形を変えながら、彼の詞の中で散見されるようになる。

これはStrawberry fields foreverの一節だが、この優柔不断さは、まどろみ時の夢なのか現実なのか、その判断がつかない微妙な状況ってのが伝わってくるね。

Always, no sometimes, think it’s me, but you know I know when it’s a dream.
I think I know I mean a ‘yes’ but it’s all wrong, that is I think I disagree.

これが僕だといつも、いや時々思う けれどそうなんだ。それは夢かもしれず…
そのつまり、“そうだ“と言っても それはみんな間違いで…
結局僕は同意してないんじゃないかと思う

また一番、有名な優柔不断といえば、Revolution1のそれだ。

We all want to change the world
But when you talk about destruction
Don’t you know you can count me out in

誰だって世の中を変えたいと思ってる
だけど、破壊行動に頼りたいというのなら
僕は加担する気はない、いや、ある

この3曲(I’ll Be BackStrawberry fields foreverRevolution1)をジョンの優柔不断三部作と呼びたいな。

アコスティックな曲。微妙な名曲。

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