2009年大相撲初場所を振り返る

大相撲の初場所は面白かった。

勿論、朝青龍の23回目の優勝は素晴らしかったが、朝青龍に関しては、こちら(朝青龍完全復活は格闘家としての本能の勝利だ)をお読みいただくとして、このエントリーでは他の関取について書いてみたい。

まずは、優勝決定戦で朝青龍に敗れた白鵬について。
白鵬は静かな横綱である。初日から世間の話題が朝青龍に向いている中、独り黙々と横綱の務めを果たし、静かに勝ち進んでいた。
あまりにも危なげなかったため逆に話題にもならなかったのだ。
大鵬、北の湖などの全盛期の「横綱相撲」を思い出させるような立ち振る舞いだ。
今場所は朝青龍に優勝をさらわれたが、白鵬が第一人者である事には変わりない。
来場所、また頑張って欲しい。

次は大関陣だ。
魁皇の勝ち越しが何よりも嬉しい。魁皇に関しての詳細はこちら(大関という生き方 -魁皇論-)をお読みいただければと思う。
どうしても九州場所までは土俵に上がり続けて欲しいと切に願う。

琴欧洲は、久々に動きがよかった。
おそらく、精神的にも好調だったのである。
先場所までのどこか暗い表情が、今場所は自信に満ち溢れていた。
惜しむらくは、6日目の安美錦戦だ。すばやく横に廻られて、一気に出されてしまった。
また、10日目の千代大海戦も残念だった。
千代大海にも大関の意地があるのだろう。ツボにはまると思わぬ力を発揮する。さすがだ。
上記の2番をもし、乗り越えていたら、朝青龍の11日目で全勝決戦になっていたはずだ。
そうであれば、また別の結果が出ていたかもしれない。
いずれにしても来場所楽しみだ。

日馬富士の初日からの4連敗は意外だった。
ただ、体調が悪いようには見えなかった。おそらく、精神的なものだろう。
雅山戦、稀勢の里戦で、前に落ちてしまったが、これらは明らかに体が堅くなっていたからだ。
調子をつかめば、いつかは盛り返してくるだろうと思っていたが、さすが、14日目に勝ち越してくれた。

関脇以下でも、何人も注目すべき関取がいた。

まずは、把瑠都だ。特に白鵬戦はすばらしかった。まるで横綱同士が闘っているようながっぷり四つの大相撲。
今場所のベストバウトのひとつだ。
特に、この一番の前の把瑠都のコメントがいい。
「がっぷりになれば何とかなる。」
今をときめく、白鵬を前にしてのこの自信、さすが大物だ。
そして、千秋楽の日馬富士との一番も凄かった。
いくら軽量とはいえ、相手は大関、それを足を取って、そのままつり出してしまった。
まるで大人と子供だった。
今場所、途中で負けが重なってしまったが、気にする事は無い。来場所、優勝すら狙えると僕は思う。

一方、把瑠都と同様のヨーロッピアン力士は今ひとつだった。
阿覧は負け越してしまった。
本来の荒々しさが、影を潜めてしまった。
よく、阿覧に対して、「相撲を知らない」「型が無い」と言われることがあるが、僕はそうはそれは大きな問題だとは思えない。
阿覧には阿覧らしく、相撲取りの以前の格闘家の精神を忘れないで欲しいからだ。
極論するならば、阿覧には、無茶な張り手や力任せの寄りを見せて欲しい。
大相撲の「明日」にとっても、異種格闘技を取り込んでいった方が、よりエキサイティングな見世物になるからだ。
同様のことは、栃ノ心にも言える。
栃ノ心は千秋楽でようやく、勝ち越すことが出来たが、今場所では、彼らしさはほとんど見られなかった。
あの懐の深さと、サンボヨーロッパ王者としての技術を生かしたオリジナルスタイルを是非確立してほしい。

今場所注目していたが、一番残念だったのが武州山だ。
30歳を超して、新入幕、勝ち越しての今場所だったが、幕の内上位には全く通じなかった。
出っ腹に撫で肩のくたびれた肉体、いいではないか。来場所勝ち越して、何とか、幕内に踏みとどまって欲しいと願う。

色黒の元気者、嘉風と豊真将の活躍も目立った。
特に嘉風の動きの良さと気持ちの強さは、朝青龍戦を持ち出すまでもなく、素晴らしい。
今場所、いろんな事を学んだであろう。将来が楽しみだ。

白鵬、朝青龍、日馬富士以外のモンゴル勢も総じていい動きをしていた。
時天空が久々に勝ち越した。千秋楽の豊真将で見せた足技はこの人オリジナルだ。こういう個性的な力士は好きだ。
旭天鵬が前頭一枚目で勝ち越し、来場所の三役復帰に期待を持たせてくれた。すでに36歳になるのに、その肉体はまだまだ輝いている。
鶴竜の動きの良さも目立った。明日の日馬富士は、この鶴竜だ。
朝赤龍、光龍、玉鷲は残念ながら負け越してしまったが、十両では、翔天狼、白馬が十両優勝決定戦を争うほど元気だ。
また、個人的に注目なのは、今場所負け越してしまったが保志光だ。彼の肉体のユニークさは特筆物である。早く幕の内に上がってきてほしい。
十数年ほど前、確かに、小錦、曙、武蔵丸等のハワイ勢は活躍していた。
しかし、彼等の次の人材が続かなかった。ゆえにその流れは絶えてしまった。
一方、モンゴル勢は次々に新しい才能が上がってくる。
その勢いは凄い。
彼等の運動神経、ハングリー精神に対して、日本人はどう対抗して行ったらいいのだろうか。今後の大相撲界の大きな課題である。

嬉しかったのは、新入幕の山本山の勝ち越しだ。
来場所もまた幕の内での相撲が見られるからだ。
四日目の将司戦で見せた、圧倒的な押し、中日の垣添戦で見せた土俵際での打っちゃり気味の上手投げ、十四日目に見せた怒涛の決め出しすべてが彼の持ち味だ。
惜しむらくは、千秋楽での木村山との一戦。動かれ、横から攻められ、押し出された。ここで勝っていれば9勝。さらに上に上がれたのに...

ちなみに、今場所のベストバウト5は以下

1位:初日の朝青龍VS稀勢の里(朝青龍の意地が見えた)
2位:三日目の千代白鵬VS鶴竜(二人で土俵狭しと動き回るこれぞ相撲)
3位:二日目の若の里VS普天王(一見地味なこの対決。思わぬ名勝負に)
4位:九日目の白鵬VS把瑠都(一番の力相撲だった)
5位:十日目の白鵬VS日馬富士(日馬富士の維持が爆発)

逆にがっかりさせられたのは七日目の把瑠都VS琴欧洲。
この二人の怪物対決、いつも期待するのだが、いつも一瞬で勝負がついてしまう。
この二人が白鵬対朝青龍のような名勝負が見せられるようになれば、この二人の時代が来ると思うのだが。

まさむね

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