「北京の西瓜」で時間が止まったのは逆に日本なのだ

「北京の西瓜」は1989年の大林宣彦の映画だ。日本にやってきた中国人留学生とそれを受け入れる八百屋の親父(ベンガル)との心の交流の物語である。
あのころの大林の映画は、次の「青春デンデケデケデケ」もそうだが、一人の人がしゃべっているのに別の人のセリフがかぶってくるような独特の演出がなかなか新鮮だった記憶がある。
そしてさらに、この映画が今でも記憶に残っているのは、そうした演出に加えて、後半部分で大林監督が「撮れなかった」映像というのが空白の部分として刻印されているからだ。
この撮れなかったというのは、いわゆる天安門事件が起こって、撮影が出来なくなったこと、それによって多くの若者が惨殺されたということに対する彼の抗議の現れである。

あの映画のあそこで、時間が止まった。この映画を観た当時、中国の遅れに関して僕は怒りというよりも哀れな感じがしたものだ。
あれから、20年。しかし現在、中国は飛躍的な成長をとげ、一方で日本は悲惨な状況だ。今日を誰が予想しただろうか。
先日、興味があった、最近の中国で人気がある日本のドラマについて調べていて、こんなページをみつけた。

中国人が一番好きな「日本のドラマ」

これによると、な、なんと、今でも日本の人気ドラマは「東京ラブストーリー」なのだ。
また、JETROの右記の調査レポートによると、 「中国における日本産コンテンツの放映・上映・発売状況等データ (2009年度 第2 四半期)」、2009年になっても、例えば、上海TV-東方衛星放送Chではこのドラマの再放送を続けているのである。

これは、日本の絶頂期のドラマである。放映は1991年だが、原作が書かれたのは1988年だ。
もしかしたら、中国における日本へのあこがれというものがあったとしても、それは80年代でとまってしまっているのかもしれない。
そして、さらに残酷なことにそれ以降の日本は中国にとって見るべきところではないのかもしれない。
勿論、現代でもインターネットの不法サイトで日本ドラマは続々と中国人に視聴され続けている。いわゆる哈日族(これはおもに台湾での言い方だが)というのもいることはいるのであろう。
しかし、大衆レベルでは、日本は既に過去の国なのかもしれないのだ。

ということは「北京の西瓜」で時間が止められたのは、逆に日本なのだ。
そんな逆説を考えさせる映画であった。

まさむね

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