「あの花」に観られるプロダクトプレイスメントの自然化の流れ

広告業界の苦境がささやかれている昨今であるが、新しい試みとして注目されているのがプロダクトプレイスメントである。
これは、映像作品の中に商品を写しこんで、商品告知やイメージ効果を狙う広告手法の一つであり、ハリウッド映画などでは既にビジネスとして成立しているという。
有名な成功例としては、「007シリーズ」におけるボンドカー(BMW)や、「マトリックス」におけるサムソンの携帯電話などが知られている。

さて、僕が、最近観た「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(通称:あの花)の中にも、様々な商品が登場していた。しかも、あまりにも自然に登場していた。
例えば、第一話だけをとっても、冒頭に机の上のPCの傍に何気なくおいてあるガリガリ君(赤城乳業)、そして主題歌が始まると、その中にはCCレモン(サントリーフーズ)が。次のシーンでは、サッポロ一番塩ラーメン (サンヨー食品)を作るシーンも出てくる。

左からガリガリ君、CCレモン、サッポロ一番塩ラーメン、埼玉新聞、WcDonald

また、第二話以降の様々なシーンでも、アルトバイエルン(伊藤ハム)、カントリーマーム(不二家)、うま辛ポテト ヒ~ハー!!(カルビー)といったナショナルクライアントの商品が頻繁に登場。ちなみに、ローカルの商品としては、埼玉新聞(埼玉新聞社)や十万石まんじゅう(十万石ふくさや)なども登場する。
一方で、企業名や商品名を容易に想像させる、WcDonald(MacDonald)や金カ堂(キンカ堂)というような名前も登場する。

製作委員会に電通の名前が見られることから、登場シーン、使用方法を確認の上、それらの企業に承認を取って名前や絵柄を使用しているというのは確実だ。ただ、スポンサーや商品提供のクレジットが見えないことから、おそらく、広告活動というよりも、ある種のテスト使用ではないかとも想像される。

ご存知の通り、視聴率の低下、レコーダーのCMスキップ機能などにより、テレビ広告の価値が揺らいでいる昨今、広告代理店、テレビ局は「新しい」広告のありかたを模索している。
おそらく、現時点では、これらのプレイスメントが、視聴者に対してどのように受け取られるのか、効果があるのか、逆効果にはならないのか、または、制作進行の障害にならないのか、という事に対して、まだ十分なデータが存在しないため、まずは深夜アニメで試してみようということのなのだろう。
そして、視聴者に、それほど抵抗感が無いということを確認の上、プライムタイムのドラマ等にも普通に商品が登場する「自然化」を進めるというストーリーが見えなくもない。
おそらく、広告としてのビジネスになっていくのはそれからの話であろう。

視聴者のCMに対するリテラシー、拒絶感がどんどん高まる中、こういった流れは、ある意味仕方が無いとも言えるが、一方で、それら「大人の事情」によって、本来いい作品を作る事を第一義に考えるべきアニメ制作サイドの自由や創作意欲が抑圧されなければいいと思う。
それがアニメファンとしての現時点での最大の懸念点である。

まさむね

この作品以外のアニメ評論は、コチラからご覧下さい。

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