平清盛は、今後、どのような賽の目を出していくのであろうか

NHK大河ドラマ「平清盛」が素晴らしい。
僕は、先週の日曜日の第一回放送を見逃してしまい、一昨日の土曜日に第一回目、昨日の日曜日に第二回目の放送を立て続けに観た。

第一回目放送後、兵庫県知事の「鮮やかさがなく、薄汚れた画面ではチャンネルを回す気にならないというのが第一印象」という発言も聞いていたし、保守系の方々による、いわゆる王家呼称問題なども耳に入ってきていて、なにかと外野が騒々しいという印象だったので、いかがなものかという気がしないでもなかったのであるが、予想以上のスタートに感心してしまった。

僕は、昨年位から、ドラマの歴史考証が云々という視点で大河を見るような態度は捨てるようにしている。
それでないと観てはいられない、ということもあるのだが、あまりそういった観点でディテイルを観ることにちょっと飽きているというのもあるのだ。

さて、物語の内容に関してであるが、まずは、清盛(幼名は平太であるがこのエントリーでは清盛で通す)の出生の特殊さが、これでもかと、描き出される。この執拗さが凄い。
法皇という高貴な血を引いていながら、しかしその血は、同時に、不道徳で横暴な「うつつの物の怪」の血(と遊女の血)でもあるという聖穢の両面性を併せ持つ清盛。陰陽師の占いによって天皇家(=国家)に禍をもたらす宿命があるということで流産させられそうになる。その命令から逃げた母親によって馬小屋で誕生するが、その母親からも、産声を上げた瞬間に殺されそうになる。
しかし、母親は思いとどまり、その子を育てることを決意するが、結局は捕縛され、法皇の前に出される。そして、そこで、法皇によって抹殺されかけるが、結局は母親の命を賭けた咄嗟の行動によって救われる...

これは、まさに怒涛の展開だ。大河ドラマでありながら、明らかにその枠を超えた、まるでシェークスピア悲劇や、旧約聖書、はてはアーサー王伝説やギリシャ神話の臭いがする。このドラマのテーマが、おそらくは、「血の宿命」といった重いものになる予感が初回、二回目からプンプンしてくる。

例えば、オープニングの映像にまずサイコロが何度か登場する。また、第一回目放送では、祇園女御と双六をしたり、第二回目放送では賭博場のシーンが出てくる。いずれのシーンでも清盛は的確な賽の目を出す。
思えば、当時権勢を誇った白河法皇は、意のままにならないものとして、賀茂川の流れ、比叡山の僧侶と並んで、この双六の賽の目を上げたというが、このドラマでは、その賽の目をも、自由に出せる「天賦の力」が、この清盛に宿っているかのように扱われている。つまり、このドラマにおけるサイコロとは、彼が法皇を超える権勢を得るであろう強い宿命を持つ男として生きるということの伏線となっているのである。

また、白河法皇が出した殺生禁止令に対して、抗議に行く清盛であるが、実は、民衆を苦しめるこの令の根本に、法皇が恐れた清盛の母親の惨死があったということを、そして、それは清盛が生きているということ自体から来る因縁であることに気付かされる。つまり、法皇に抗議しに行った清盛は、自分自身の存在自体が、回りまわって、庶民を苦しめていたという逆説に、初めて出会うということになるのである。

おそらく、清盛が持っているこの暗い宿命が、彼をずっと苦悩させ続けるのであろう。
何故ならば、この宿命は、白河法皇が持つ物の怪の血から逃れられないという宿命だからでもある。そして、その宿命によて、清盛は、ゆくゆくは、意識しようがしまいが、あの憎んでいた法皇に似てくるに違いない。おそらく、それが、このドラマの大きな見所の一つとなろう。

例えば、ご存知の通り、白河法皇が、清盛を生かしておいたという、その人生において唯一見せた人情(=甘さ)の遺伝子は、後に清盛をして頼朝を殺さなかったという人情(=甘さ)として受け継がれ、それが平家を滅ぼすという因果に続く、多分。

大きな宿命の前では、一時の善行が自らの不幸の種になるというこの逆説。自分が生きようとすること、欲望を満たそうとすること自体が、誰かを不幸にしてしまうという逆説。

いままでの大河にないその邪悪な部分が、今後、どのように描かれていくのかが、とっても楽しみである。

まさむね

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