把瑠都の魅力 その豪放磊落で底抜けに明るいナチュラルさ

大相撲初場所、12日目が終了し、大関・把瑠都が12戦全勝で優勝争いのトップに立っている。

言うまでもなく、彼のよさは、その圧倒的な体格と体力である。
他の多くの力士が彼について語るとき、そのパワーの凄さを必ず口にする。おそらく、僕ら観客が感じ取る以上のものがあるにちがいない。

さて、僕が今日のエントリーで語りたいのは、その把瑠都の肉体、及び、精神におけるナチュラルさについてである。
今日の稀勢の里戦、把瑠都は立会い一瞬、体を開いて、新大関を地に這わせた。レポーターの報告によると、上手を取りに行こうとしたが、立会いがあわず、瞬間的に叩いたというようなことを語っていた。また、確か昨日の日馬富士戦でも、土俵に上がってから、突っ張っていこうと決めたと言っていた。
つまり、彼は、綿密にプランを練って作戦を実行するタイプではなく、その場で臨機応変に、つまりナチュラルに、悪く言えば、出たところ勝負で闘っているということである。
これは、ある意味では、緻密さの欠如として批判されることなのであろうが、僕は、逆に、ここにこそ、把瑠都の大きな魅力があると考えている。彼の豪放磊落な表情、勝った後に花道の奥で付き人に見せる笑顔は、今までの大関なかった明るい個性ではないのか。
また、把瑠都のナチュラルさは、その仕切り方にも現れている。彼は、例えば、白鵬のように徐々に集中力を高める様式美を持っていたり、琴奨菊のように独特の(左手による横への)塩巻スタイルを持っているわけではない。あるいは、稀勢の里や琴欧洲のように、自分の顔を叩いて気合を入れたり、日馬富士のように、深く仕切ったりと、他の横綱、大関が持っている独特の仕切りの型が無いように思われるのだ。
それどころか、彼の仕切りには、あたかも、「なんで、こんなことをしなきゃいけないんだろう」的な明るい退屈さが漂っている。それゆえに、仕切り途中で相手をグッと睨むというようなことはまずないし、塩巻きの風情もどことなく、気楽な感じがするのである。しかし、その風情がまた、魅力的なのだ、少なくとも僕には。

そんな把瑠都は、ここまで土付かずの12連勝である。序盤は何番か、危ない場面もあったが、中盤からここへかけて、圧倒的な勝ち方をするようになってきた。調子が徐々に上がってきているのであろう。このまま、全勝で千秋楽まで行って、堂々と大横綱・白鵬に勝負を挑み、賜杯を手にして欲しいと思うのは僕だけではないだろう。

さて、一方、横綱・白鵬であるが、一昨日の鶴竜戦で思わぬ、不覚を取った。というよりも、あの一番は、鶴竜の先手先手の攻めをほめるべきなのであろう。そして、今日の日馬富士戦、誰もが考えなかった日馬富士の立会いの変化によって、一気に土俵外まで突っ走ってしまった。
白鵬にしては珍しいことである。
ただ、まだ優勝の望みが消えたわけではない。把瑠都に対して、最後まで大きな壁であって欲しい。それでこそ、平成の大横綱である。

その他、今場所、ここまでで気になった人をいつも通り、列挙してみたいと思う。

まずは、十両で言えば、琴勇輝の気迫が目を見張る。
特に、立会い直前の仕切りの時に、相手に正対して「ハッ!」という声を出して気合を入れる。塩を取る際に独特の所作をする力士は(高見盛のように)多いが、そういった場面で(定型としての)発声をする力士はあまりいなかったのではないか。
また、その風貌も個性的である。言い方は悪いかもしれないが、田舎のヤンキーがそのまま相撲取りになったかのような天然のヤンチャさの魅力とでも言おうか。まだ、20歳ということもあって、今後の期待は大である。

次に、新入幕。誰がなんと言っても、千代の国の魅力には触れなくてはならないだろう。その若々しい動きと端整なルックススは、かつての貴花田を彷彿させる。今日も、格上・栃煌山の攻めを最後に逆転して転がしてしまった。見事な運動神経という他ないであろう。おそらく、彼のような力士が三役になれば、大相撲はもっともっと盛り上がるに違いない。

運動神経と言えば、今場所、隆の山も随所に光る動きをしている。特に、昨日の土佐豊戦で見せたうっちゃりは見事であった。実は、公式にはうっちゃりだったのであるが、後でスローを見たら、なんと、土俵際で相手の足を蹴っているのだ。つまり二枚蹴りをしていたのである。こんな芸当は常人では出来ない。
実は、今日も栃ノ心が嘉風の寄りに対して、土俵際でうっちゃりを見せた。残念ながら決まらなかったが、今場所、このようなうっちゃり技が多く見られるのが嬉しい。
「うっちゃり」はなぜ消えたのか―データが語る大相撲』という本が出たのが今から10年以上前であるが、ここへ来て、その醍醐味溢れる技が徐々に復活してきているのは誠に嬉しいことである。

その他、嘉風、安美錦、妙義龍、栃の若、臥牙丸など、語りたい力士は沢山いるのだが、長くなりそうなので後日に回し、今日は特別下らない話をさせてください。

実は、今日、観客席にダンカンが座っていたのである。しかも、白いヘッドギアというか包帯を頭に巻いてだ。僕はそれを確認したくて、東側の升席で彼が写るたびに、目を奪われてしまった。
観客席に有名人がいるのを探すというのは、僕のプロレスファン時代以来の趣味なのである。そして、その表情を見て、その有名人のお気に入りの力士などを判断するのが好きなのである。
それゆえ、有名人が観客席に見つかってしまう日はどうも、土俵上の相撲に対する集中力が途切れてしまうのだ。

そういえば、今場所の二日目、東のたまり席に、高須クリニックの高須克弥院長、一つ空けて、「わかンねえだろうナ」で一世を風靡した風靡した松鶴家千とせ師匠が座っていた。しかも、その日は特別解説にやくみつる氏も来ていたもんだから、「かつら三トリオ」が揃ってしまい、僕の心をかき乱せずにはおかない一日となってしまった。
さらに、相撲の進行途中で、いつの間にか、高須院長の髪型が、白髪(短髪)になってしまったものだから、それを確認するために、画面を目で追うハメになってしまい、全く相撲に集中できなかった。

ちなみに、後で、高須院長のオフィシャルブログに、「ヅラ奪われた!」と記事があり、その件は、とりあえず納得ww。

僕は、大相撲という見世物空間で起きることは、どんなことでも、楽しみたいと思っているのである。

まさむね

2012.01.12:大相撲、この愛すべき格闘技
2012.01.11:今場所は、三人の外国人大関が素晴らしい

2011.11.29:稀勢の里昇進問題、あるいは合理主義とノスタルジーの葛藤
2011.11.25:21回目の優勝を飾った白鵬について改めて考えてみた
2011.11.22:期待の大相撲・阪神四天王(豪栄道、栃の若、妙義龍、勢)
2011.11.21:大相撲で頑張る白人達の話
2011.11.20:九州場所の注目の二人・琴奨菊と稀勢の里について

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