ビートルズ資料館は竜宮城のようなところだった

昨日、JUN LEMONさんが学芸員をされている「ビートルズ資料館」によしむねさんとお邪魔してきた。

場所は船橋。アパートの1Fの2Fに展示室とオーディオ・ルームがあり、それぞれ圧巻。
展示室には、ビートルズ来日当時の雑誌が数々あり、一度、ページをめくるともうそこには60年代のカオスが顔を出す。
その中でも目を引いたのが竹中労責任編集の話の「特集 臨時増刊 THE BEATLES REPORT」。
思えば、竹中労という人は常に闘っていたんだなぁ。ビートルズ来日に潜む”闇の力”を糾弾するという内容で、当時は全く売れなかったそうだ。それはそうだ。ビートルマニアの女の子にとって、竹中のテーマはあまりにも重い。

ところが、現在ではオークションでは一万円の値がつき、復刻版も出ているという。
いい仕事をすれば、歴史が評価してくれるといういい見本でもある。

その他、資料館には、ビートルズの武道館のチケット、来日時のジョージとジョンの自筆サイン、そしてなんとポールとジョンの出生証明書など、面白い品が目白押し。
ちなみに、このポールとジョンの出生証明書というのは、誰でも取得できるらしい。でも、わざわざ、イギリスに連絡して取り寄せてしまうところがJUNさんの凄いところだ。

一方で、2Fのオーディオ・ルームには、ビートルズ関連の世界各国のレコード、CDがある。
僕はポールの「JUNK」、よしむねさんは「ROCK’N’ROLL MUSIC」「SOMETHING」をリクエスト。やっぱり、i-podとは音の迫力が全く違うなぁ。本物だ!

さて、一通り、見せていただいた後、ティータイム。
ビートルズ談義に花が咲く。JUNさん曰く、ビートルズの特徴はレンジが広いこと。
初期のロックンロールから、中期のバラードロック、SGTで音の金字塔(懐かしい言葉だ)を立てたかと思えば、ホワイトアルバムであらゆるジャンルの音楽に挑戦、最後は至高の名作・アビーロードで締めた。やはりビートルズは比類なき存在である。
確かに、アルバムジャケットを並べてみると、これが一つのバンドの7年間の遷移か?と思うくらい劇的な変貌を遂げている。
ビートルズの素晴らしさは、決して一つのところに留まらずに常に進歩し続けたことである。そして、その進歩が見事に時代とシンクロしていたことだ。
これこそ奇跡であると、思わず、三人(僕とよしむねさんとJUNさん)は顔を見合わせて、うなずく。

おそらく、現在のバンドに欠けているのは、この成長(チャレンジ精神)ではないだろうか。
誰とは言わないが、ある一つのパターンで売れてしまうと、その殻から出ようとしないアーティストがあまりにも多すぎる。勿論、ユーザーもそのアーティストのそういったスタイルを好むわけだから、いたずらにスタイルを変えるというのは、マーケッティングという観点でいえば、あまりにリスキーである...というのはよくわかる。
ただ、僕らは決してマーケッティングの結果としての商品を聴きたいのではないはずだ。
そんなものではなく、アーティストが何かに挑戦し、成長する、その生き様をも含めたスリリングな瞬間に、彼らが作り出す「音」を通して出会いたいのである。

もしかしたら、その意味で、前回のエントリーで触れた富野由悠季さん(やアントニオ猪木)が目指そうとした世界に近いのかもしれない。(ご興味のあるかたは「魔法少女まどか☆マギカ」とジャイアント馬場と古今集とをご覧下さい。)

それにしても、JUNさんのビートルズ談義は尽きない。しかも、全ての質問に丁寧に答えていただける。間違いなく、この「ビートルズ資料館」で一番貴重なのは、(勿論、展示物も素晴らしいのだが..)JUNさんの存在である。
とにかく、ここに来れば、身も心もビートルズ漬けになれる、ここはそんな空間なのである。

公式の開館は、3月20日(火・祝)。ご興味のある方はコチラより、予約してください。

JUNさん曰く、まだビートルに触れたことのないビートルバージン(これは僕の造語)の方、ビートルズを研究対象にしようと思っている大学生、院生の方は特に、足を運んでいただきたいとのことです。
というのも、元々、JUNさんがこの資料館を作ろうとしたきっかけは、ビートルズという20世紀最大の文化遺産を、次世代に引き継いでもらいたいと思ったからだという。
僕もJUNさんと同じ世代だが、その気持ちは物凄くよくわかる。おそらく、僕らの使命はそれぞれ個々人のスタンスは違えども、そして一人一人では微力ではあるが、そうしていいモノを後世に残し、若い人々に、自分の可能性に目を向けさせてあげることだからだ。

そして、そのための対象として、ビートルズこそは最適なのである。

そういえば、オーディオルームで、僕らは、JUNさんにビートルズデビュー前の荒削りな「I’LL FOLLOW THE SUN」と、フォーセールに収録された、完成品としての「I’LL FOLLOW THE SUN」の両方を聴き比べさせていただいた。
僕とよしむねさんは、その2バージョンを耳にして、あまりにも激しい短期間での進歩に驚く。
そして、アーティストにとって、大事なのは完成されたものではなく、未完の可能性だということに、改めて気付かされる。

もしも、無限の時間があれば、ここで、無限にビートルズを聴き、ビートルズ関連の書物を読み漁り、そしてビートルズについて、時を忘れて、語り合い続けていたい!
ここは、まるで「竜宮城」だ、そんな夢想をしながら僕らは資料館を後にしたのでした。

まさむね

※直、このページの画像は「ビートルズ資料館」より拝借しております。

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